目次
- 部分矯正(MTM:Minor Tooth Movement)とは
- 部分矯正のメリット
- 気になる部分だけ治療できる
- 治療期間が短い
- 費用が安い
- 違和感や痛みを抑えられる
- 全体矯正よりも始めやすい
- 部分矯正のデメリット
- 適応症例が限られる
- 噛み合わせの調整は難しい
- 後戻りしやすい
- 歯を削ることがある
- 部分矯正が適した歯並び
- 部分矯正できない歯並びの例
- 部分矯正の適応範囲を広げる方法
- 部分矯正の流れ
- 部分矯正の費用
- 部分矯正についてのよくある質問
- Q:部分矯正で出っ歯・口ゴボは治りますか?
- Q:部分矯正で前歯だけ・奥歯だけ治せますか?
- Q:部分矯正は下の歯だけでもできますか?
- Q:部分矯正はおすすめしない・後悔すると言われる理由はなんですか?
- Q:部分矯正はマウスピースとワイヤーどっちがいいですか?
- Q:部分矯正を10万円で治療できるって本当ですか?
- まとめ
「前歯のガタつきだけ治したい」
「全体の歯並びは悪くないけど、数本だけどうしても気になる」
部分矯正(MTM:Minor Tooth Movement)は、このようなお悩みをお持ちの方に選ばれている治療方法です。
部分矯正は費用と期間を抑えられることがメリットですが、すべての歯並びを治療できるわけではありません。
この記事では、部分矯正とはどんな治療なのか、メリット・デメリット、治療できる歯並び、できない症例、費用、治療期間まで詳しく解説します。
矯正治療を検討している方は、ぜひ最後まで目を通してみてください。
部分矯正(MTM:Minor Tooth Movement)とは

部分矯正(MTM:Minor Tooth Movement)とは、歯並び全体ではなく主に前歯を中心とした一部の歯だけを動かして歯並びを整える矯正治療です。
費用や期間を抑えられるため「部分矯正=安い矯正」というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、全体矯正と部分矯正では、目的が異なります。
| 比較項目 | 部分矯正 | 全体矯正 |
|---|---|---|
| 動かす範囲 | 前歯を中心に1〜6本程度 | 奥歯を含む歯列全体 |
| 主な目的 | 主に見た目の改善 | 見た目と噛み合わせの改善 |
| 治療期間の目安 | 約3か月〜1年 | 約1〜3年 |
| 費用の目安 | 約20万〜80万円 | 約60万〜130万円 |
| スペース確保の方法 | IPR(歯の側面をわずかに削る)が中心 | 抜歯・奥歯の後方移動なども選択可能 |
部分矯正と全体矯正ではこのような違いがあり、向いているかどうかは患者様の歯並びによって異なります。
重度の症例や噛み合わせに問題があるケースでは、全体矯正が必要になることもあるでしょう。
部分矯正のメリット

部分矯正には、以下のようなメリットがあります。
- 気になる部分だけ治療できる
- 治療期間が短い
- 費用が安い
- 違和感や痛みを抑えられる
- 全体矯正よりも始めやすい
ここからは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。
気になる部分だけ治療できる
部分矯正の大きなメリットが、患者様が気になる歯に絞って動かせるという点です。
例えば「上の前歯2本のねじれだけが嫌だ」「下の前歯の重なりだけを整えたい」といったお悩みであれば、全体にではなく、部分的に装置を付けるだけで治療したいと考える患者様は多いでしょう。
ワイヤーの部分矯正は部分的に装置を装着するだけで済むので、食事やお手入れの際のストレスも軽減できます。
治療期間が短い
全体矯正の治療期間は一般的に1〜3年ほどかかりますが、部分矯正は動かす歯の本数が少なく移動距離も短いため、軽度であれば3か月程度で治療できるケースもあります。
「結婚式までに前歯を整えたい」「就職活動の写真撮影に間に合わせたい」「留学前に矯正したい」など、大切な予定に向けて歯並びを整えるために部分矯正をされる方も多いです。
費用が安い
部分矯正は治療する歯の本数や使用する装置の範囲を限定できるため、全体矯正より費用を抑えられることが多いです。
矯正治療は原則として保険が適用されない自由診療(自費診療)となり費用が高額になりがちですが、費用面で矯正を迷われている患者様も部分矯正であれば検討しやすいでしょう。
なお、部分矯正にかかる費用は治療する本数や装置、症例によって変わるため、詳しくは検査やカウンセリング時に確認が必要です。
違和感や痛みを抑えられる
部分矯正の場合、装置を装着する範囲や動かす歯が一部のみに限られるため、全体矯正と比べると違和感や痛みが少なく済む傾向があります。
特に、ワイヤー矯正とマウスピース型矯正装置(インビザライン、エンジェルアライナーなど)を組み合わせた「ハイブリッド矯正(コンビネーション矯正)」の場合、ワイヤー矯正の装着期間を短くできるため治療中の違和感や痛みの軽減につながります。
全体矯正よりも始めやすい
部分矯正は全体矯正よりも期間と費用を抑えて治療できるため「前歯を少しだけ整えたいけど、何年もワイヤーを付ける自信がない」「大きな出費は避けたい」とお悩みの患者様も検討しやすい方法といえます。
ただし、ご自身の歯並びによってはカウンセリングで全体矯正を提案されることもあります。
「安さ」や「早さ」だけでなく「希望する仕上がりを部分矯正で実現できるか」という点にも目を向けることが大切です。
部分矯正のデメリット

全体矯正よりも安く、早く治療できることが多い部分矯正ですが、メリットばかりではありません。
症例によっては、部分矯正が向いていないこともあります。
- 適応症例が限られる
- 噛み合わせの調整は難しい
- 後戻りしやすい
- 歯を削ることがある
ここでは、それぞれのデメリットについて詳しく見ていきましょう。
▶部分矯正(MTM)にデメリットはある?メリットや失敗しないための対策法も紹介
適応症例が限られる
部分矯正は限られた範囲のみを動かす方法であるため、歯並びの重なりや捻じれが大きい症例の場合は、治療が難しいことがあります。
基本的に部分矯正は、歯を動かす範囲が小さく、奥歯の噛み合わせに大きな問題がない軽度の症例に適した治療です。
噛み合わせの調整は難しい
矯正治療は、単に歯並びの見た目を整えるだけでなく「噛み合わせを作る」ことが重要な目的の一つです。
しかし、部分矯正は数本の歯だけに限定して動かすため、歯並び全体の噛み合わせのバランスの調整はできません。
見た目だけを考えて噛み合わせを考慮しないと、治療後に「噛みにくい」と感じたり、特定の歯に負担がかかって歯を痛めてしまうことがあります。
後戻りしやすい
「後戻り」とは、矯正後に歯が元の位置へ戻ろうとする現象のことです。
歯並びを乱していた根本的な原因を解決しないまま部分矯正で見た目だけ整えた場合、後戻りが起こってしまうことがあります。
▶部分矯正(MTM)で歯並びが元に戻る原因は?気になる対処法も紹介
歯を削ることがある
矯正治療では、歯を並べるためのスペースを確保するために歯をわずかに削る「IPR(ディスキング・ストリッピング)」という処置を行うことがあります。
削る量はエナメル質が1〜2mm程度あるうちの0.2〜0.5mm程度とごくわずかで、適切に行えば歯の健康や寿命に悪影響を及ぼすことは基本的にありません。
痛みはほぼなく、施術後の違和感も一時的ですが、歯を削ることに抵抗がある場合は事前に十分説明してもらい、納得したうえで受けることが大切です。
部分矯正が適した歯並び
部分矯正が適した症例は、軽度のすきっ歯や叢生、歯の傾きによる軽度の出っ歯・受け口、矯正治療後のわずかな後戻りなどが代表的です。
| 歯並び・状態 | 部分矯正が適するケース |
|---|---|
| 軽度のすきっ歯 | 前歯など限られた範囲に隙間があり、奥歯の噛み合わせに大きな問題がない |
| 軽度の叢生 | 前歯の軽いガタつきや歯のねじれなど、少量のスペースを確保すれば改善できる |
| 軽度の出っ歯・受け口 | 顎の骨格ではなく、主に前歯の傾きや位置に原因がある |
| 矯正後の後戻り | 治療後に前歯など一部分のみがわずかに動いている |
部分矯正できない歯並びの例
反対に、前歯だけを動かしても解決しない以下のようなケースの場合、部分矯正だけでは対応が難しくなります。
全体矯正のほか、症例によっては外科矯正が必要になることがあるでしょう。
| 歯並び・状態 | 部分矯正が難しい理由 |
|---|---|
| 上下顎の位置関係に問題がある | 歯の位置だけでなく顎の骨格や位置が関係しているため |
| 奥歯の噛み合わせに問題がある | 前歯だけではなく、奥歯を含めた歯列全体の調整が必要になるため |
| 歯が並ぶスペースが大きく不足している | 部分的なIPRや拡大だけでは十分なスペースを確保できない場合があるため |
| 噛み合わせにズレがある | 上下の歯列全体の位置関係を整える必要があるため |
| 噛み合わせが深い | 過蓋咬合では前歯の高さや奥歯、顎の骨格など複数の要因が関係するため |
▶部分矯正(MTM:Minor Tooth Movement)ができない例5つ!治せる範囲やその他の選択肢も紹介
部分矯正の適応範囲を広げる方法
「部分矯正は難しい」と言われた歯並びでも、スペースを作る処置を行うことで、対応できる場合があります。
| 方法 | 内容 | 適しているケース・特徴 |
|---|---|---|
| IPR(ディスキング・ストリッピング) | 歯と歯の間のエナメル質を必要な範囲でわずかに削り、歯を並べるスペースを作る方法 | 軽度〜中等度の叢生など、少量のスペースを確保すれば歯を並べられる場合に用いられる |
| 側方拡大 | 歯列を左右方向へ広げ、歯を並べるためのスペースを確保する方法。成人の場合は骨の成長が完了しているため慎重な診断が必要 | 歯列を無理のない範囲で広げることで、前歯のガタつきなどを改善できる場合に検討される |
また、マウスピース型矯正装置では難しい場合でも、ワイヤー矯正であれば治療設計次第で部分矯正ができることもあります。
部分矯正の流れ
部分矯正の一般的な流れは以下の通りです。
- カウンセリング……気になる部分や希望する期間・予算を共有し、大まかな方針を確認
- 精密検査……レントゲンやCT、口腔内スキャン、写真撮影などで骨格と噛み合わせを分析
- 診断・治療計画の説明……部分矯正で対応できるか、IPRの量や仕上がりの見通しを含めて説明
- 装置の装着……ワイヤーまたはマウスピースで治療をスタート
- 調整・経過観察……装置に応じて1〜3か月ごとに来院し、歯の動きを確認
- 保定(リテーナー)……装置を外した後、整えた歯並びを固定する期間へ移行
費用や治療期間はもちろん、「全体矯正と比較した場合の仕上がりの違い」や「なぜ部分矯正で対応できるのか」といった点も前もってしっかり確認しておきましょう。
部分矯正の費用
矯正治療は原則として公的な保険が適用されない自由診療にあたるため、費用は全額が自己負担になります。
ただし、一定の条件を満たせば医療費控除の対象になりますので、領収書は忘れずに保管しておきましょう。
天神矯正歯科の部分矯正の費用は以下の通りです。(ワイヤー部分矯正は装置を付ける本数によって費用が変動します)
| 項目 | 料金(税抜) |
|---|---|
| マウスピース部分矯正(片顎) | 450,000円 |
| マウスピース部分矯正(両顎 / 片顎全体) | 650,000円 |
| 表側ワイヤー部分矯正 | 300,000円〜 |
| 舌側ワイヤー部分矯正 | 500,000円〜 |
| 精密検査・診断料(部分矯正) | 30,000円 |
当クリニックでは、装置ありきで治療を決めるのではなく、歯並びや噛み合わせを丁寧に診断したうえで、一人ひとりに適した治療をご提案しています。
部分矯正が適さない場合はその理由も丁寧にお伝えし、無理に治療を勧めることはありません。
▶当クリニックの部分矯正(MTM:Minor Tooth Movement)
部分矯正についてのよくある質問

ここでは、部分矯正についてのよくある質問を紹介します。
Q:部分矯正で出っ歯・口ゴボは治りますか?
A:顎の骨格には大きな問題がなく、前歯の傾きや位置が原因の軽度の出っ歯や口ゴボであれば、部分矯正で改善できる場合があります。
原因によって対応可能かどうかが変わるため、まずは詳しい検査を受けてみましょう。
▶部分矯正(MTM:Minor Tooth Movement)で出っ歯は治る?適応する・しない歯並びの特徴
▶部分矯正(MTM:Minor Tooth Movement)で口ゴボは治る?メリットや治療の選択肢などを紹介
Q:部分矯正で前歯だけ・奥歯だけ治せますか?
A:軽度の歯並びの乱れであれば、部分矯正で前歯だけ治療可能です。
一方、奥歯の場合、歯科クリニックによっては一部症例のみ対応可能とするところもありますが、基本的に部分矯正は難しいとされることが一般的です。
奥歯は歯根の数が多く湾曲しており、部分矯正では対応が難しいなどの理由があるためです。
▶前歯は部分矯正(MTM:Minor Tooth Movement)だけで治せる?気になる情報総まとめ!
▶部分矯正(MTM:Minor Tooth Movement)は奥歯だけでもできる?基礎知識・メリット・治療の選択肢
Q:部分矯正は下の歯だけでもできますか?
A:下の歯だけの部分矯正も可能です。
ただし、下の歯だけを動かすと上下の噛み合わせのバランスが崩れてしまうことがあるため、ご自身の歯並びに適した治療法かどうかを確かめてもらいましょう。
▶部分矯正を下の歯のみにすることはできる?メリットデメリットや治療方法などを紹介
Q:部分矯正はおすすめしない・後悔すると言われる理由はなんですか?
A:インターネットやSNSで「部分矯正はおすすめしない、後悔する」という情報を目にして不安を感じている方も多いかもしれません。
部分矯正そのものは悪い治療ではありませんが、適応外の歯並びに対して無理に行うと、後悔につながる可能性があります。
「短期間で終わる」「費用が抑えられる」という点だけを重視して部分矯正を選ぶと、トラブルにつながることがあるため、注意しましょう。
本当に自分に部分矯正が適しているかどうか、信頼できる矯正歯科で診てもらうことが大切です。
Q:部分矯正はマウスピースとワイヤーどっちがいいですか?
A:どちらが適しているかは、歯並びの状態やご希望によっても変わってきます。
一般的には、目立ちにくさや取り外せることを重視する方は「マウスピース型矯正装置(インビザライン、エンジェルアライナー)」、管理の手間を避けたい方は「ワイヤー矯正」が向いています。
「可能な限り短期間で無駄なく歯並びを整えたい」という場合は、ワイヤー矯正がおすすめです。
ワイヤー矯正の方が細かな調整がしやすく、持続的に力をかけられることから、治療を計画通りに進めやすい傾向にあります。
Q:部分矯正を10万円で治療できるって本当ですか?
A:「部分矯正が10万円」という広告を目にすることがありますが、実際に10万円で治療できるのは「超軽度の歯並び」のようなごく一部のケースに限られます。
また、実際には追加費用が別途必要になるケースや、「効果がなかった」「逆に歯並びが悪くなった」と後悔につながる可能性もあります。
大事な歯だからこそ、安さだけでなく「治療の質」まで検討することが大切です。
▶部分矯正(MTM)が10万円でできるって本当?受ける前の注意点や実際にかかる値段を紹介
まとめ
部分矯正は、軽度のすきっ歯や前歯のガタつきや捻じれ、矯正後の軽度な後戻りなど、限られた範囲であれば、費用や期間を抑えて治療できることがメリットです。
一方、すべての方が部分矯正に向いているわけではなく、中には全体矯正や外科矯正が必要になるケースもあります。
無理に部分矯正を行うとかえって歯並びが悪化してしまうケースもあるため、正確な診断が非常に重要です。
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矯正を専門とする歯科医師2名が診断から治療計画まで関わって治療に当たっておりますので、ぜひ一度相談にお越しください。
