目次
- 医療費控除とは?どんな制度?
- 歯列矯正が医療費控除の対象になるケース・ならないケース
- 医療費控除の対象になるケース【治療目的の場合】
- 医療費控除の対象にならないケース【審美目的の場合】
- 子ども・大人│医療費控除の対象になる歯列矯正の具体例
- 子どもの歯列矯正
- 大人の歯列矯正
- 医療費控除の対象となる費用
- 歯列矯正の医療費控除の申請の注意点・ポイント
- 制度を利用するには確定申告が必要
- 診断書は求められた場合のみ提出が基本
- 家族の場合は所得が多い人が申請をした方がお得
- 5年前まで遡って申告可能
- 歯列矯正の医療費控除のやり方・流れ
- ①必要書類を用意する
- ②医療費控除の明細書・確定申告書を作成する
- ③税務署に申告書を提出する
- ④還付を受ける
- 歯列矯正の医療費控除でいくら戻る?節税額のシミュレーション
- ステップ①医療費控除額を計算する
- ステップ②所得税の還付額・住民税の軽減額を計算する
- 歯列矯正の医療費控除についてのよくある質問
- Q:見た目を治療したい大人の歯列矯正も対象になりますか?
- Q:クレジットカード分割払いやデンタルローンも対象になりますか?
- Q:歯列矯正の途中で年をまたいだ場合はどうなりますか?
- Q:会社員やアルバイト・パートでも確定申告は必要ですか?
- Q:マウスピース型矯正装置での歯列矯正も対象になりますか?
- Q:ふるさと納税と併用できますか?
- まとめ
歯列矯正は原則として保険が適用されず費用が高額になることから、「少しでも費用を抑えたい」という方は多いでしょう。
そんな歯列矯正の費用を実質的に軽減できる制度が、「医療費控除」です。
制度の対象になるか、また、いくら戻ってくるかは人によって異なるため、医療費控除について詳しく知っておきましょう。
この記事では、子ども・大人それぞれの対象条件や申請方法、いくら税負担を軽減できるのかなどを詳しく解説します。
ご自身やお子様の歯列矯正が対象となる可能性があるのかをチェックしてみてください。
医療費控除とは?どんな制度?

医療費控除は、1年間(1月1日から12月31日)に支払った医療費が一定額を超えた際に、確定申告をすることで税金の負担を軽減できる制度です。(医療費控除額の上限は200万円まで)
自分の分だけでなく生計を共にする配偶者や親族の医療費も合算して申請できます。
「支払った医療費そのもの」が返金されるわけではなく、「所得税や住民税の負担を軽減する仕組み」です。
歯列矯正が医療費控除の対象になるケース・ならないケース

すべての歯列矯正が医療費控除の対象になるわけではなく、「対象になるケース」と「対象にならないケース」があります。
ここからは、それぞれのケースについて解説します。
(参考:国税庁『No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例』)
医療費控除の対象になるケース【治療目的の場合】
医療費控除の対象になるのは、噛む・話すといった機能面の問題を改善(治療)するための歯列矯正です。
国税庁のサイトでは「発育段階にある子供の成長を阻害しないようにするために行う不正咬合の歯列矯正」と具体例が挙がっていますが、年齢によって決まるわけではなく、大人であっても機能的な問題があれば対象になります。
医療費控除の対象にならないケース【審美目的の場合】
一方、見た目を整えるために行う審美目的の歯列矯正は医療費控除の対象外になります。
ただし、実際には見た目の裏に機能の問題が隠れているケースも少なくありません。
例えば、「出っ歯(上顎前突)」の歯並びでは「口元が突出しているのが気になる」「笑ったときに歯茎や歯が目立つ」と見た目の悩みを気にされる患者様が多いですが、機能面にもさまざまな問題があります。
検査によって治療が必要な状態と診断されれば医療費控除の対象となる場合もあるため、まずは矯正歯科で相談することが大切です。
子ども・大人│医療費控除の対象になる歯列矯正の具体例

歯列矯正が医療費控除の対象になるかどうかは、治療の目的や必要性を踏まえて判断されます。
ここからは、子どもと大人それぞれについて、医療費控除の対象となる可能性がある歯並びの具体例を詳しく解説します。
子どもの歯列矯正
発育段階にある子どもの歯列矯正の場合、基本的には「成長を妨げないために行う治療」と位置づけられ、医療費控除の対象となることが一般的です。
例えば、以下のようなケースです。
- 噛み合わせが悪く、食事や発音に影響がある
- 顎や歯の正常な成長に悪影響がある
- 永久歯への生え替わりに問題がある
- 将来的に口腔内や顎に問題が生じる可能性がある など
大人の歯列矯正
大人の矯正であっても、機能的な問題を治療する目的であれば医療費控除の対象になります。
例えば、以下のような状態は治療目的と判断されやすい傾向にあります。
- 噛み合わせが悪く、食べ物をしっかり噛めない
- 歯並びや噛み合わせが原因となり、発音に支障が生じている
- 顎や噛み合わせに機能上の問題があり、矯正治療が必要と診断された
- 歯並びの影響で歯磨きがしにくく、口腔内を清潔に保ちにくい
大人の矯正は見た目の改善をきっかけに検討する患者様が多いですが、検査で噛み合わせなどの問題が見つかることも少なくありません。
「自分の症例は医療費控除の対象になる?」と気になったら、カウンセリング時に合わせて相談してみましょう。
医療費控除の対象となる費用
歯列矯正では、治療そのものにかかった費用だけでなく、治療のために必要となった一定の通院費も医療費控除の対象になります。
| 種類 | 対象になる費用の例 |
|---|---|
| 医療費 | 精密検査料・診断料、矯正装置料、調整料・処置料、矯正のための抜歯費用(便宜抜歯)、治療に必要な薬代 |
| 通院費 | 電車・バスなど公共交通機関の運賃、付き添いが必要な小さな子どもに同行した保護者の交通費 |
通院費で対象となるのは主に公共交通機関の運賃で、自家用車で通院した際のガソリン代や駐車場代は対象にならないため注意しましょう。
なお、通院が困難な場合、例外的にタクシー代も認められる場合もあります。
通院費は領収書が出ないことも多いため、通院した日付と金額をメモに残しておくといいでしょう。
歯列矯正の医療費控除の申請の注意点・ポイント

ここからは、医療費控除の申請の前に知っておきたい4つのポイントについて詳しく解説します。
制度を利用するには確定申告が必要
医療費控除を受けるためには、確定申告の手続きが必要です。
勤務先で行う年末調整だけでは医療費控除を申請できないため、普段は確定申告をしていない場合も、忘れずに申告するようにしましょう。
診断書は求められた場合のみ提出が基本
確定申告の際、診断書の添付は必須ではありません。
ただし、税務署から確認を求められた場合は提出が必要になるため、審美目的か治療目的か判断が難しい場合や、税務署からの連絡に備えておきたい場合は、前もって診断書を用意しておくといいでしょう。
診断書の発行費用は3,000〜1万円が目安で、詳細な内容を記載する場合はやや高くなることがあります。
家族の場合は所得が多い人が申請をした方がお得
医療費控除は、自分の医療費だけでなく生計を共にする家族のために支払った医療費もまとめて申告できます。
所得税は所得が高くなるほど税率が上がるため、所得税率が高い方が申告したほうが所得税の軽減効果が大きくなります。
共働きのご家庭でお子様の矯正費用を負担する場合は、収入の多い方がまとめて申告するといいでしょう。
5年前まで遡って申告可能
医療費控除は、過去5年分(医療費を支払った翌年の1月1日から5年以内)まで遡って申告が可能です。
医療費控除の申請は医療費を支払った次の年の確定申告期間内(原則2月16日〜3月15日)に行いますが、「申告し忘れてしまった」という場合でも5年以内であれば可能なため忘れずに申告しましょう。
歯列矯正の医療費控除のやり方・流れ

歯列矯正で医療費控除を利用するためには、申告が必要です。
ここからは、4つのステップで具体的なやり方を詳しく解説します。
(参考:国税庁『No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)』)
①必要書類を用意する
まずは、申告に使う書類を手元に揃えましょう。歯列矯正の場合、以下のようなものが必要になります。
- 医療費・通院費の領収書
- 医療費通知(利用する場合)
- 源泉徴収票
- マイナンバーが分かるもの
- 還付金の振込先口座
- 本人確認書類
- ローン契約書など(ある場合)
領収書は提出する必要はありませんが、5年間の保存義務があります。
②医療費控除の明細書・確定申告書を作成する
必要な情報がそろったら、医療費控除の明細書と確定申告書を作成します。
国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用すれば、画面の案内に沿って金額を入力するだけで明細書と申告書が自動的に作成されるため、初めての方でも進めやすいでしょう。
やり方がわからない場合は、管轄の税務署に出向いて直接相談することもできます。
③税務署に申告書を提出する
書類が完成したら管轄の税務署へ提出します。提出方法には、以下のような選択肢があります。
- e-Taxで送信……マイナンバーカードとスマートフォンやパソコンがあれば24時間提出でき、還付も比較的早い
- 郵送……郵便物(第一種郵便物)または信書便物として送る
- 窓口に持参する……税務署の閉庁時(土・日曜・祝日等)は時間外収受箱への投函も可能
④還付を受ける
問題なく申告が受理されれば、事前に指定した口座に還付金が振り込まれます。
e-Taxで提出した場合は3週間程度、郵送や持参で提出した場合は1か月から1か月半程度が目安です。
住民税について別途申告する必要はなく、確定申告の内容が反映され、翌年6月以降に納める住民税が自動的に少なくなります。
歯列矯正の医療費控除でいくら戻る?節税額のシミュレーション

ここからは、実際にどのくらい税負担が軽くなるのか、計算方法や節税額のシミュレーションを紹介します。
ステップ①医療費控除額を計算する
医療費控除額は、以下の式で計算します。
【医療費控除額 =(1年間に支払った医療費の合計 - 保険金などで補てんされる金額)- 10万円(※総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等の5%)】
例えば、その年に歯列矯正の治療費として80万円を支払い、保険金などで補てんされる金額は0円だったとします。
この場合、「80万円-10万円=70万円」で、医療費控除額は70万円となります。
ステップ②所得税の還付額・住民税の軽減額を計算する
次に、医療費控除によって税負担がどの程度軽くなるのかを計算します。
計算式は、以下のようになります。
【医療費控除額×所得税率=還付額の目安】
例えば、所得税率10%が適用される方の場合、70万円×10%=約7万円が所得税軽減額の目安です。
| 項目 | シミュレーション例 |
|---|---|
| 医療費控除額 | 70万円 |
| 所得税率 | 10% |
| 所得税の軽減額の目安 | 約7万円 |
| 住民税の軽減額の目安 | 約7万円 |
| 合計の税負担軽減額の目安 | 約14万円 |
なお、ここで紹介するのはあくまで単純計算した例であり、実際の軽減額は控除後の課税所得や税率区分によって異なります。
歯列矯正の医療費控除についてのよくある質問

ここでは、歯列矯正の医療費控除についてのよくある質問と回答を紹介します。
Q:見た目を治療したい大人の歯列矯正も対象になりますか?
A:治療のきっかけが見た目の悩みであっても、診断の結果として噛み合わせや発音などの機能的な改善が必要と判断されれば、対象となる場合があります。
まずは矯正歯科で詳しい検査を受けてみましょう。
Q:クレジットカード分割払いやデンタルローンも対象になりますか?
A:クレジットカード分割払いやデンタルローンで治療費を支払った場合も、医療費控除の対象になります。
デンタルローンは信販会社が治療費を立て替える仕組みのため、信販会社が立替払いをした年(ローン契約が成立した年)の医療費控除の対象として扱われます。
ただし、金利や手数料相当分は控除の対象にはならないため注意しましょう。
Q:歯列矯正の途中で年をまたいだ場合はどうなりますか?
A:医療費控除は「その年に支払った金額」が対象です。
そのため、治療が年をまたいだ場合は、その年に実際に支払った金額を、それぞれの年の医療費控除として申告します。総額を1年分にまとめて申告することはできません。
支払い計画を立てる段階で、こうした点も一緒に相談しておくと安心でしょう。
Q:会社員やアルバイト・パートでも確定申告は必要ですか?
A:年末調整を受けている会社員やアルバイト・パートの方も、医療費控除を申請する場合はご自身で確定申告を行う必要があります。
Q:マウスピース型矯正装置での歯列矯正も対象になりますか?
A:マウスピース型矯正装置(インビザライン、エンジェルアライナーなど)を使ったマウスピース矯正でも、ワイヤー矯正(表側・裏側)や部分矯正(MTM:Minor Tooth Movement)でも、治療を目的とした歯列矯正であれば医療費控除の対象になります。
Q:ふるさと納税と併用できますか?
A:医療費控除はふるさと納税と併用可能です。
ただし、医療費控除を受けるには確定申告が必要になるため、ふるさと納税のワンストップ特例制度は使えなくなります。
すでに申請書を提出していた場合でも確定申告によって無効になりますので、寄附金控除もあわせて申告してください。
なお、医療費控除によって課税所得が減少するとふるさと納税の上限額も下がるため、寄附をする前に上限額をシミュレーションしておくと安心です。
まとめ
歯列矯正は、審美目的ではなく治療目的であれば、子どもだけでなく大人でも医療費控除の対象になる可能性があります。
患者様ご自身で自己判断はできないため、まずは矯正歯科で自分の歯並びや噛み合わせについて詳しく調べてもらい、どのような治療が必要なのか診断を受けましょう。
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「自分の歯並びにはどの治療が合っている?」「治療目的の矯正に当てはまる?」など気になることがあれば、まずはお気軽にご相談ください。
