「前歯が前に出ている気がする」
「口が閉じにくい」
「横顔に自信が持てない」
こんなお悩みから「出っ歯」と検索された方も多いのではないでしょうか?
出っ歯(上顎前突)は口元のコンプレックスになってしまうだけでなく、噛み合わせや口腔内の健康にも影響を及ぼすことがあります。
この記事では、出っ歯の判断基準やセルフチェック方法、原因や治療法について詳しく解説します。
口元が気になっている方はぜひ記事を最後までチェックしてみてください。
出っ歯(上顎前突)とは?

出っ歯とは、上の前歯や上顎が下の歯列よりも前方へ突き出している状態を指す一般的な呼び方です。
正式には「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」と呼ばれる不正咬合の一つです。
上顎そのものが前方に位置しているケースもあれば、下顎が後方に下がっているために相対的に前突して見えるケースもあり、患者様によって異なります。
ここからは、歯科医師がどのような基準で出っ歯を判断しているのか、そしてご自身でできるセルフチェックの方法について詳しく解説します。
判断基準
歯科の専門用語に「オーバージェット」というものがあります。
オーバージェットとは上下の前歯の水平的な前後差のことで、一般的には2〜3mm程度が正常範囲とされています。
この数値が4mm以上になると出っ歯(上顎前突)の傾向ありと判断されることが多く、「学校歯科医の活動指針(令和3年改訂版)」では7~8mm以上の突出が上顎前突の判断基準とされています。
(参考:公益社団法人 日本学校歯科医会『よくある質問』)
主な症状
自分やお子様が「出っ歯かもしれない」と感じたら、まずは以下の項目をチェックしてみましょう。
- 正面から見ると上の前歯が目立つ
- 横顔で口元が前へ出て見える
- Eライン(鼻先と顎先を結んだ線)より唇が大きく前方にある
- 力を入れないと口を閉じられない
- 口を閉じると顎先に梅干し状のシワができる
- 前歯で食べ物を噛み切りにくい
- 前歯をぶつけやすい
- 口呼吸になりやすい
これらは出っ歯でよくみられる特徴です。
6〜13歳の子どもを対象とした海外の調査では、オーバージェットが6mm以上の場合、6mm未満の場合と比べて歯の外傷リスクが有意に増加したことが報告されており、怪我のリスクも高まります。
(参考:Jean-Paul Schatz, Enrico Ostini, Magnus Hakeberg, Stavros Kiliaridis『Large overjet as a risk factor of traumatic dental injuries: a prospective longitudinal study』)
出っ歯には2つのタイプがある

出っ歯は、どこに原因があるかによって「骨格性」と「歯槽性(歯性)」の2つに大きく分けられます。
見た目が似ていても、顎の骨に問題があるのか、それとも歯の傾きだけの問題なのかで、選ぶべき治療法は変わってきます。
ここからは、それぞれのタイプの特徴について詳しく解説します。
骨格性の出っ歯
骨格性の出っ歯(骨格性上顎前突)は、上顎が前方へ大きく成長している、あるいは下顎の発育が小さいことなど、顎の骨格が原因で生じるタイプです。
歯の傾きだけの問題ではないため、一般的に歯槽性よりも重症度は高くなる傾向にあります。
骨格性の出っ歯の場合、部分矯正(MTM:Minor Tooth Movement)では治療が難しく、全体矯正が必要になるケースが多いです。
骨格のずれが大きい場合は顎の骨を移動させる外科手術を組み合わせた「外科矯正」が必要になることもあります。
歯槽性の出っ歯
歯槽性の出っ歯(歯槽性上顎前突)は、上下の顎の位置関係やサイズに大きな問題はないものの、上の前歯が前方へ強く傾斜していることで生じるタイプを指します。
歯が前に傾くことで口が閉じにくくなったり、見た目がコンプレックスになってしまうケースも多いです。
歯槽性の出っ歯には、指しゃぶりや舌で前歯を押す癖、口呼吸などが深く関わっています。
このタイプの出っ歯の場合、軽度であれば部分矯正で対応できることもあります。
出っ歯になる原因

出っ歯には、生まれ持った骨格の要素と、生活習慣によって後から加わる要素の両方が関わっています。
原因は一つとは限らず、複数の要因が重なって発症するケースも多くあります。
ここからは、先天性の原因と後天性の原因に分けて詳しく解説します。
先天性の原因
出っ歯の状態がそのまま遺伝するわけではありませんが、骨格や顎の形状、バランスなどは遺伝しやすく、その結果、出っ歯になりやすくなる傾向があります。
例えば、上顎が大きい、下顎が小さいといった上下の顎のサイズ差や位置関係が遺伝的に受け継がれ、前歯が前方に位置しやすくなるなどです。
ただし、遺伝的な素因があるからといって、必ず出っ歯になるわけではありません。
成長期に適切な介入を行えば、顎の発育を利用して改善を図れる可能性もあるため、お子さまの歯並びが気になる方は早めにご相談ください。
後天性の原因
後天性の原因とは、日常の癖や生活習慣によって前歯に持続的な力が加わり、少しずつ歯が押し出されていくものを指します。
無意識の習慣が積み重なると歯列を乱してしまうことがあるため、以下のような習慣に心当たりがないか、確認してみましょう。
| 原因 | 詳細 |
|---|---|
| 指しゃぶり・おしゃぶり・舌癖 | 前歯を内側から外側へ押す力が長時間加わり、上の前歯が前方へ傾斜する。3歳を過ぎても続く指しゃぶりは特に影響が大きい |
| 口呼吸 | 口が開いたままだと唇が歯を押さえる力が働かず、内外の筋圧バランスが崩れて前歯が前へ出やすくなる |
| 乳歯の早期喪失 | 虫歯などで乳歯を早く失うと隣接歯が倒れるなどして永久歯の生えるスペースが確保できなくなり、歯並びが乱れる |
なお、これらの癖は、矯正治療後の後戻りにも影響します。
装置による治療と並行して、舌の位置や呼吸の仕方を整えるトレーニングに取り組むことが大切です。
出っ歯のデメリット
出っ歯は「見た目の問題」として語られやすいものの、実際には口腔内の健康にも影響する問題です。
出っ歯には、以下のようなデメリットがあります。
- コンプレックス・自信喪失につながることがある
- 歯の摩耗・破損リスクが高まる
- 虫歯や歯周病になりやすくなる
- 発音に影響する
- 胃腸に負担がかかる
- 口が閉じづらく、ドライマウスや口臭につながる
- 歯が着色しやすくなる
すべての症例で上記のような症状が現れるわけではないものの、出っ歯は医学的に悪い歯並び・噛み合わせである「不正咬合」のため、放置せずに一度相談することをおすすめします。
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出っ歯の治し方は?矯正治療法

出っ歯は自力で治すことはできず、改善のためには矯正歯科での専門的な治療が必要です。
治療法には複数の選択肢があり、突出の程度・骨格の状態・ライフスタイルによって適した方法は変わります。
装置の見た目や手軽さだけで選んでしまうと、思い描いた仕上がりにならない可能性もあるため、信頼できる矯正歯科医に相談して、自分の症例に適した方法を提案してもらうことが大切です。
| 治療法 | 目立ちにくさ | 主な適応 |
|---|---|---|
| 表側矯正 | △(白い装置であれば◯) | 軽度〜重度 |
| 裏側矯正 | ◎ | 軽度〜重度 |
| 部分矯正 | ◯ | 軽度 |
| マウスピース型矯正装置 | ◎ | 軽度〜中等度が中心 |
| 外科矯正 | ー | 骨格性の重度な症例 |
表側矯正
表側矯正は、歯の表面にブラケットを装着してワイヤーを通し、歯を動かしていく方法です。
矯正装置の中でも最も歴史が長く、軽度から重度まで幅広い症例に対応できる点が最大の特徴です。
見た目が気になる場合は、透明のクリアブラケットや白色コーティングされたワイヤーを選べば、目立ちにくくできます。
ただし、装置の周囲は汚れが溜まりやすいため、丁寧なブラッシングを心がけましょう。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・幅広い症例に対応できる ・歯の細かな移動や噛み合わせを調整しやすい ・抜歯を伴う出っ歯にも対応できるケースがある | ・歯の表側に装置を付けるため目立ちやすい ・装置の周囲に汚れがたまりやすい ・丁寧な歯磨きが必要になる |
裏側矯正
裏側矯正(舌側矯正)は、装置を歯の裏側に取り付ける方法で、正面からはほとんど気づかれないことが特徴です。
表側矯正と同様ワイヤーとブラケットを使用し、出っ歯を含む幅広い症例に対応できます。
一方で、装置が舌に触れるため慣れるまで発音しにくさを感じたり、清掃に工夫が必要になったりする点には注意が必要です。
また、裏側矯正は高度な技術を要するため、費用は表側矯正より高くなる傾向にあります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・歯の裏側に装置を付けるため目立ちにくい ・人前に出る仕事でも治療を続けやすい ・見た目に配慮しながらワイヤー矯正を行える | ・表側矯正より費用が高くなる傾向がある ・舌に装置が触れて違和感が出ることがある ・一時的に発音しにくくなる場合がある ・丁寧な歯磨きが必要になる |
部分矯正(MTM:Minor Tooth Movement)
部分矯正は、ワイヤーとブラケットもしくはマウスピース型矯正装置で気になる前歯など限られた範囲だけを動かす治療法で、MTM(Minor Tooth Movement)とも呼ばれています。
全体矯正と比べて期間が短く、費用も抑えられますが、動かせる範囲と量には限界があります。
出っ歯の場合、軽度であれば部分矯正で対応できますが、全体矯正が必要になることもあります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・気になる部分に限定して治療できる ・全体矯正より治療期間や費用を抑えられることがある | ・対応できる症例が限られる ・噛み合わせ全体の改善には向いていない ・出っ歯の程度が大きい場合は適応できないことがある |
▶当クリニックの部分矯正(MTM:Minor Tooth Movement)
▶部分矯正(MTM:Minor Tooth Movement)で出っ歯は治る?適応する・しない歯並びの特徴
マウスピース型矯正装置
マウスピース型矯正装置(インビザライン、エンジェルアライナー)は、透明な装置を1〜2週間ごとに交換しながら歯を少しずつ動かしていく装置です。
装着していても気づかれにくく、食事や歯みがきの際に取り外せる快適さから、近年希望される患者様が増えてきました。
一方、1日20〜22時間という装着時間を守れなければ計画通りに歯が動かなくなってしまうため、患者様ご自身の自己管理が大切です。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・透明で目立ちにくい ・食事や歯磨きの際に取り外せる ・口腔内を清潔に保ちやすい | ・決められた装着時間を守る必要がある ・自己管理が治療結果に影響する ・症例によっては適応できない場合がある |
▶当クリニックのマウスピース型矯正装置(エンジェルアライナー)
外科矯正
外科矯正は、矯正治療と顎の外科手術を組み合わせて行う治療です。
歯を動かすだけでは正しい噛み合わせにするのが難しい骨格性の重度な症例が対象になります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・ずれの大きい骨格性の出っ歯にも対応できる ・顎の位置や噛み合わせの改善を目指せる ・矯正治療だけでは改善が難しい症例も治療できる | ・手術を伴うため身体的な負担が大きくなる ・入院や術後の回復期間が必要になる |
出っ歯の矯正で抜歯は必要?
出っ歯の矯正で多くの患者様が気にされるのが、「抜歯が必要かどうか」です。
歯の傾きが原因になっている場合は、歯と歯の接触面をごくわずかに削るIPR(ストリッピング)などを行うことで、非抜歯で治療できることがあります。
一方、前歯を下げるスペースが足りない場合や、上顎の突出を引っ込める必要がある場合は、抜歯が必要になることが多いでしょう。
健康な歯を残せる点は非抜歯矯正の大きな魅力ですが、スペースが不足しているまま無理に歯を並べようとすると、かえって口元が前に出てしまったり、歯茎が下がる歯肉退縮が起こることがあります。
「抜かない治療」という言葉だけで判断せず、なぜその方針なのか、事前に十分説明してもらうことが大切です。
出っ歯の矯正治療期間・費用相場
以下で、出っ歯の治療期間と費用相場を紹介します。
なお、あくまで目安であり、実際には症例や選ぶ装置によって変わるため、詳しくはカウンセリング時にご確認ください。
| 治療法 | 費用相場 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 表側矯正 | 約70万〜130万円 | 約1〜3年 |
| 裏側矯正 | 約120万〜160万円 | 約2〜3年 |
| 部分矯正 | 約20万〜90万円 | 約3ヶ月〜1年 |
| マウスピース型矯正装置 | 約80万〜110万円 | 約1〜3年 |
| 外科矯正 | 治療法によって異なる | 約2〜3年以上 |
矯正治療は、原則健康保険が適用されない自由診療(自費診療)となります。
まとめ
出っ歯(上顎前突)は、見た目だけでなく噛み合わせや口腔内の健康にも影響を及ぼすことがある不正咬合です。
コンプレックスになってしまうだけでなく、口呼吸になりやすいことから虫歯・歯周病のリスクが高まる、口臭が出やすくなる、他の歯に負担がかかるといったさまざまなデメリットがあります。
「自分は出っ歯なのだろうか」「どの治療法が合っているのかわからない」と悩んでいる方は、自己判断せず矯正歯科で相談してみましょう。
西鉄福岡(天神)駅から徒歩5分の『天神矯正歯科』では、表側・裏側ワイヤー矯正、マウスピース型矯正装置(インビザライン、エンジェルアライナー)、部分矯正、小児矯正、外科矯正まで幅広く対応し、矯正に必要な抜歯を含めて対応しています。
他院で断られた症例や再矯正、セカンドオピニオンをご希望の方も、ぜひお気軽にご相談ください。
